2011年6月3日金曜日

板山よもやま話01

おとなりのおじさんは木を出したことがあるという。
その木でお風呂を作ったらしい。
何十年前の話だろう。

茶のみ仲間のおじさんの家は自分の山の木で建てている。
川の向こうの急斜面を指さして、
昔はケヤキがたくさんあった。うちの桁は尺上のケヤキだという。
今その山にはヒノキがびっしりと植えてある。

斜面を転げ落して木挽きさんが挽いた。
こんな大きな木があったと腕で大きく囲む。

分収契約したときには、家族総出で植えに行った。
家族が多ければいいお金になった。
伐ったお金で保育園も小学校も建てた。

みな昔の話はする。
みなの中に山を取り戻すにはどうすればいいんだろう。
昔は山に人がたくさんいた。
人がいない山は怖い。
しーんとした中に一人では居れない。
だから山に入らなくなったと隣のおじさんは言った。

だから今道をつけているんです。と私は言った。
おじさんは渋い顔をして帰って行った。
みなの中に山を取り戻すには・・・・。
と私は考える。

おじさんは梅の木はとても大事にしている。
たくさんなる実をきれいに採ってみなにおすそわけするという。
茶のみ仲間のおじさんは連れ立って山に山菜を取りに行く。
隣のおばあちゃんは山の道が荒れてわさびが取りに行けなくなったことを残念がっている。
家の周りにはタラの芽、山椒、わさび、ふき、ユキノシタ等々立派に実っている。
山の主のおじさんにわらびやこごみやよもぎを採りに連れて行ってもらった。
シキミや松の生える場所はみなが知っている。
あけびのツルが美味しいことを教えてもらった。みなはもう食べないという。
リョウブは食べれるぞ!とあるおじさんが言う。おじさんは今は食べないのに。
食べれる葉っぱや草の話はみな大好きだ。
こうやったら食べれるというのをみなが教えてくれる。

みなの中から山がなくなったわけではない。
たぶん昔から山とはそういうものだった。
生活と直結していたものだった。
木材を使わなくなっても、薪がいらなくなっても、人の生活から山がいらなくなったわけではない。
山を取り戻すと考えるから難しい。
みなに必要な山をみつけていけるんじゃないか。
それはたぶん無限にある。

1 件のコメント:

  1. とても魅力的な記事でした!!
    また遊びに来ます!!
    ありがとうございます。。

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